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Beauty Source キレイの魔法

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恋愛セミナー71【浮舟】

第五十一帖  <浮舟-1  うきふね>  あらすじ

匂宮は思いを遂げることができなかった浮舟を忘れることができません。
中の姫が追い出してしまったのだろうと責める匂宮。
「薫の君の思い人と知っても、匂宮はどこまでも探に行くだろう。せめて姉である私からは何も言うまい。」
中の姫は匂宮には、ただ嫉妬深い妻に見せかけています。

薫は浮舟を迎える家を新しく造らせています。
昔と変わらず二条院へも通い、親身に世話をし続けるのを、匂宮と比べても得がたい人だと思う中の姫。
何も知らない新参の女房は、親戚でもない薫が二条院にやってくるのを不審に思い、
匂宮も嫉妬するので中の姫はそっけなくすることもあるのですが、薫の態度は変わりません。
相変わらず浮気な匂宮ですが、子供を産んだのは中の姫だけなのを特別なことと思い、
六の姫よりも大切に扱うのでした。

正月の頃、匂宮は二条院で若君と遊んでいました。
そこへ、宇治からの使が来たと、女童が松をつけた手作りの籠と文を持ってきます。
怪しいと思い、中の姫の目の前で文を開ける匂宮。
「宇治ではたいそう良いもてなしを受けていますが、姫はお寂しい様子です。
あの事件のことを疎ましく思われ、そちらへお伺いすることは迷っていらっしゃるようです。」
匂宮は「あの事件」という言葉から浮舟が宇治にいるのではないかと思います。

匂宮は薫のもとにも出入りしている大内記(だいないき 漢文の素養がある役人)を呼びました。
「薫の君は宇治にまだ通っているのだろうか。寺を建てられたそうだね。」
「寺は立派にできたようです。秋頃から大切な女人を山荘にお置きになっておられるようで。」と大内記。
「夕霧の右大臣も薫の君が仏道修行三昧で宇治に度々行かれるのを咎めておられたが、そんなことだったのか。」と喜ぶ匂宮。
「その女人があの人か確かめよう。中の姫が薫の君と一緒になって秘密にしたのが悔しい。」
匂宮はこのことばかりを考えています。
「その女人は私と関係があったのだがある理由で離れてしまい、今は薫の君が世話しているようなのだ。
どうしてもその人か知りたいから、内密に宇治へ行く方法を考えてくれ。」
大内記は面倒な、と思いましたが、薫がいない日を見計らって、匂宮を宇治へ連れてゆきました。

宇治の山荘では、誰も来ないと油断していました。
近くで覗きみると、やはりあの時の女性らしく、中の姫によく似ているようです。
どうしても浮舟を手に入れたいと思う匂宮。
女房たちは、薫や中の姫の噂話や、明日母君と石山寺に参詣に行く話をしていましたが、寝入ってしまった様子。
匂宮は格子を叩いて右近という女房を起こし、薫の振りをして浮舟の部屋に入ってしまうのでした。

恋愛セミナー71

1 薫と中の姫    変わらぬ思い
2 匂宮と中の姫   糟糠の妻
3 薫と浮舟       留めおかれて
4  匂宮と浮舟     突き止められた居場所

薫の中の姫への思いはまだ続いていました。
部屋の中に入ってくるようなことはなくとも、大姫と重なる中の姫を、浮舟を得たことでも変わらず
大切に思う薫。
以前から続く兄のような親身な世話と相まって、ますます不思議な関係に周囲からは見えるようです。

匂宮の浮舟への執着は、そんな薫と中の姫との関係への嫉妬心で煽られていることもあるようです。
浮気者で、寂しがりやの匂宮。
周囲に隠しごとができず、いつも薫には自分の恋心を話し、宇治の姫への橋渡しも頼んでいました。
それなのに、薫は中の姫と自分の理解できないような種類の親しさを持っている。
直接、触れ合っている様子はいまはないものの、自分が入っていけないような雰囲気を作り出している。
直情的で、好きになったら即関係を持ってしまうのが当然と思っている匂宮には、
薫のもつ侵しがたい聖なる雰囲気を、羨ましくも疎ましくも感じられるのでしょう。

その薫が隠していたあの女性。
思いを遂げられなかったことで余計に高まった執着と、隠し事をしていた中の姫への報復。
そしていつも浮気者と自分をおとしめていた薫への反発。
かつて中の姫のもとへ通うときに経験した、宇治の山道という関を越えて燃え上がった情熱が、
相手を変えて、再び匂宮を駆り立てていく。
中の姫を手にいれた時と同じように、薫に成りすまして。
ここにも、生きた人形がいるのかもしれません。


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